高濃度乳房
(デンスブレスト)とは
高濃度乳房とは、乳腺組織がよく発達している状態の乳房を指します。高濃度乳房そのものは病気ではありませんので、治療も必要ありません。
しかし、通常のマンモグラフィ検査では、乳腺の濃度が濃いため、しこりなどが不明瞭になることがあります。その場合は超音波検査や3Dマンモグラフィ検査(トモシンセシス)を検討します。
いずれも当院で実施可能な検査ですので、ご相談ください。
高濃度乳房の症状は?
高濃度乳房において、特別な症状は認められません。
ただ、月経前に乳房が張る、痛むといった月経前症候群の症状が現れるケースもあります。
マンモグラフィにおける乳腺の濃度は年齢で異なる?
高濃度
30~40代によく見られますが、全体に対する割合は10%ほどです。
閉経後にホルモン補充療法を行っている方に見られることもあります。
不均一高濃度
40~50代によく見られます。全体の約半数がここに分類されます。
乳がんの罹患率が高い年齢層ですので、慎重な検査が求められます。
散在性
40~50代に多く、全体の30%ほどを占めます。
検査による異常が比較的見つけやすい状態です。
脂肪性
60歳以上の方に多く、全体に対する割合は10%ほどです。
ほとんどの乳腺が脂肪化しており、検査による異常が見つけやすい状態です。
乳腺濃度 | 割合 | 年代 | 病変発見 | |
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高濃度 | 約10% | 30~40代閉経前に多い | 見つけにくい場合がある 比較的異常が見つけやすい |
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不均一高濃度 | 約50% | 40~50代閉経前~閉経周辺期 | ||
散在性 | 約30% | 中高齢女性に多い多授乳女性 | ||
脂肪性 | 約10% | 高齢女性多授乳女性 |
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高濃度乳房の原因は?
乳腺濃度は人によって差があり、年齢、授乳経験、食生活などの影響に左右されます。
20~30代の若い方、授乳期にあたる方、アジア人女性は乳腺濃度が高くなりやすいと言われています。
高濃度乳房のリスク
病変の発見が難しいことがある
マンモグラフィ検査の際、乳腺は白く写し出されます。そしてしこり、石灰化なども基本的には白く写ります。高濃度乳房では乳腺が真っ白に写し出されるため、乳腺の影に隠れて病変が見つかりにくい可能性があります。(いわば、白地のキャンバスに白色で絵を描いているようなものです。)
乳がんの発生リスクが高くなる?
マンモグラフィの高濃度乳房では、乳がん発症リスクが増加することは「確実」である、とされております。
高濃度乳房に対応可能な
3Dマンモグラフィ
(トモシンセシス)
高濃度乳房によってマンモグラフィ検査の結果が信用できない場合、その代用となる検査として、乳腺超音波検査、3Dマンモグラフィ検査(トモシンセシス)、乳房MRI検査が挙げられます。
3Dマンモグラフィ検査(トモシンセシス)とは、連続撮影により3次元的に乳房を観察できるため、微細なしこり、石灰化を正確に見つけることが可能です。乳腺超音波検査とともに、当院で受けていただくことができます。
エコー検査と併用をおすすめします
3Dマンモグラフィ検査(トモシンセシス)を単独で行うよりも、乳腺超音波検査を併用することで、さらに乳がんの発見率を更に高めることができるため、両検査を併用されることをおすすめします。